「ホストクラブ規制強化へ──2025年改正風営法の全貌とその影響」

「ホストクラブ規制強化へ──2025年改正風営法の全貌とその影響」
目次
改正背景と目的
2025年5月に成立した改正風俗営業法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律)は、ホストクラブを中心とした悪質営業や若年層への被害拡大が社会問題化したことを受けて、2025年6月28日から段階的に施行されました。特に、法適用はホストクラブだけに留まらず、キャバクラ・ガールズバー・メンズエステなど接待飲食営業全体に広がります。
主な改正点(4本柱)
1. 接待飲食営業に係る遵守事項・禁止行為の追加
遵守事項(行政処分対象)
- 料金に関する虚偽説明
- 客の“恋愛感情”につけ込んだ飲食の要求(いわゆる“色恋営業”)
- 客が注文していない飲食の提供
禁止行為(刑事罰対象)
- 注文や料金支払いを狙った威迫・強要
- 威迫や誘惑で、売春・性風俗店勤務・AV出演などを客に要求
法改正により、6か月以下の拘禁(懲役に相当)または100万円以下の罰金、あるいはその併科が可能に
2. 性風俗店によるスカウトバックの禁止
性風俗店がスカウト活動を通じて求職者の紹介料(スカウトバック)を支払うことが全面的に禁止され、個人・法人を問わず刑事罰の対象になります。
3. 無許可営業や名義貸しに対する罰則強化
- 個人:懲役刑が「2年以下」から「5年以下」に引き上げ、罰金も「200万円以下」から「1,000万円以下」へ。
- 法人:罰金が「200万円以下」から最大「3億円以下」に大幅アップ。
これには無許可営業だけでなく、実質的な運営者と形式的な許可者を分離した「名義貸し」も含まれます。
4. 不適格者(欠格事由)の拡大
新たに以下の者が許可取得・更新が不可能、あるいは取消対象となりました :
- 親会社やグループ法人が許可取り消しを受けた場合
- 警察調査後に許可を返納した者(処分逃れ)
- 暴力的不当行為を行うおそれのある者が、経営・事業に支配的影響力を行使する者
この結果、実態に基づいた運営者や関係法人の審査が強化されます。
業界・店舗・利用者への影響
- 店舗側:従業員に対する教育徹底、客とのトラブル防止策の強化が必須。特にSNSを活用した客引きなどが摘発対象に。罰金額が法人3億円と高額なため、管理体制の見直しが急務です。
- 従業員・ホスト:恋愛感情を誤認させて飲食を強制する行為などに刑罰のリスクが伴うため、業務対応が問われます。
- 利用者(主に女性):“色恋営業”や後払いトラブル、売春に誘導されるリスク軽減につながる内容です。
まとめ
改正風営法は、主に以下の目的で強化されました:
- “色恋営業”や虚偽説明など悪質商法の根絶
- スカウトバックによる人身誘導防止
- 無許可営業や名義貸しの徹底摘発
- 組織的な違法運営への制裁強化
これにより業界は「健全化」への転換を迫られ、一方で利用者にとっては安全な環境が整うことになります。今後は行政処分・刑事罰の両面で取り締まりが厳しくなる見通しです。
法令対応チェックリスト
項目 | 対応済? |
---|---|
料金説明の明確化、虚偽防止策 | □ |
“色恋営業”に関する社内ルール整備 | □ |
強要・威迫行為への警戒体制 | □ |
スカウトバック禁止の実行体制 | □ |
無許可営業・名義貸しの有無確認 | □ |
背景・経営関係者の適格性チェック | □ |
店舗運営に関わる方は、上記チェックリストをもとに直ちに対応をご検討ください。