「ゆりかごから墓場まで」— 人生の各ステージのファイナンシャル・プランニング【連載14】

初めてのクレジットカードと信用情報管理

大学生や新社会人になると、「そろそろクレジットカードを作ってみよう」と考える人も多いでしょう。ネットショッピングや交通系ICカードとの連携、海外旅行の支払いなど、便利な場面が増える一方で、使い方を誤ると「信用」に大きなダメージを与える可能性もあります。

この項では、クレジットカードの基本的な仕組みと、知っておくべき「信用情報(クレジットヒストリー)」の管理について解説します。


◆ クレジットカードの仕組みとは?

クレジットカードは、「後払い」の仕組みで商品やサービスの代金を支払う決済手段です。カード会社が一時的に支払いを立て替え、利用者は後日まとめて請求額を支払います。

用語意味
一括払い翌月にまとめて支払う(基本形)
分割払い複数回に分けて支払う(手数料あり)
リボ払い毎月一定額を支払う(高金利になるため注意)

特に「リボ払い」は便利なように見えて、手数料が年利15%超となる場合もあるため、原則避けた方が無難です。


◆ 初めてのカード選びのポイント

  • 学生向け・新社会人向けのカード(例:三井住友カードNL、楽天カード、イオンカードなど)を選ぶ
  • 年会費無料のカードから始める
  • 限度額が低い(5万〜10万円程度)カードで使いすぎを防止

また、申込時には「本人確認書類」と「収入の有無(アルバイト可)」の申告が必要です。収入がない場合は、親の同意が必要なこともあります。


◆ クレジットカードのメリット

  • 現金を持ち歩かなくても安全に支払える
  • ネット決済がスムーズになる
  • 利用額に応じたポイント還元が受けられる
  • 信用履歴(クレヒス)を築ける

この最後の「信用履歴(クレヒス)」が、今後の人生において非常に重要な役割を果たします。


◆ 信用情報(クレヒス)とは?

信用情報(クレジットヒストリー)とは、クレジットカードやローン、携帯端末の分割払いなどの利用状況・返済実績を記録したデータのことです。これは「CIC」や「JICC」「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」といった信用情報機関に保存されます。

▸ なぜ大切なのか?

  • 将来、住宅ローンや自動車ローンの審査に影響する
  • スマホの分割払い契約や、カードの新規作成にも影響
  • 未払いや遅延があると「ブラックリスト」入りする可能性があり、最長5年記録が残る

つまり、若いうちからクレジットカードを正しく使うことは、「信用を築く」という投資の一種なのです。


◆ 信用情報を守るための5つのルール

  1. 支払いの遅延は絶対にしない
     → 1日でも遅れると記録が残る場合がある。引き落とし口座の残高は常に確認。
  2. リボ払い・キャッシングは最終手段
     → 高額な手数料・金利が発生。なるべく使わない。
  3. 限度額ギリギリまで使わない
     → 利用率が高すぎると信用に悪影響。目安は限度額の30%以下。
  4. 複数枚作りすぎない
     → 申込のしすぎは審査でマイナス評価。管理が甘くなるリスクも。
  5. 信用情報は自分でも確認できる
     → CIC等のサイトで**自分のクレジット情報を開示請求(1回1,000円程度)**できる。

◆ まとめ:カードは「使う」ではなく「信用を築く」ための道具

クレジットカードは、正しく使えば非常に便利なツールです。しかし、お金が「見えにくくなる」からこそ、常に「使っている=借金している」意識を持つことが大切です。社会に出る前に、信用の大切さを理解し、堅実な使い方で信頼を積み重ねていくこと。それが、将来の住宅購入や資金調達など、「大きな夢の実現」にもつながっていきます。