「ゆりかごから墓場まで」— 人生の各ステージのファイナンシャル・プランニング【連載13】

初めての家計管理(生活費、家賃、食費、通信費)

親元を離れて一人暮らしを始めたり、就職して給料を得るようになったりするこの時期。自由な反面、生活にかかるすべてのお金を自分で管理する責任が生まれます。これまで意識していなかった「毎月の固定費」や「予想外の支出」に直面し、「思ったよりお金が足りない」と感じる方も多いのが実情です。

ここでは、初めての家計管理で押さえておきたい基本と、主な支出項目ごとの目安・節約のヒントを紹介します。


◆ 家計管理の第一歩:お金の「見える化」

まずは、毎月の収入と支出を把握することが最優先です。家計簿をつける習慣がない人でも、スマホの家計簿アプリ(マネーフォワード、Zaimなど)を使えば、手軽に「何にお金を使っているか」が見えてきます。

【基本の支出項目】

  • 家賃(住居費)
  • 食費
  • 通信費(スマホ・インターネット)
  • 光熱費(電気・ガス・水道)
  • 交通費
  • 日用品費
  • 医療・保険
  • 交際費・娯楽費
  • 貯金(目標額の設定を)

◆ 支出項目別の目安とポイント

▸ 家賃(住居費):収入の25〜30%が目安

  • 一人暮らしを始める場合、家賃は手取り収入の3割以内に抑えるのが理想です。
  • 家賃のほかに「共益費」「更新料」「火災保険料」なども忘れず計算しましょう。
  • 学生寮や実家暮らしを選べば、大きな固定費の削減が可能です。

▸ 食費:月2〜3万円が一般的(自炊重視ならもっと節約可)

  • 外食が多くなるとすぐに月5万円以上に。コンビニ食は割高になりがちです。
  • 週に1〜2回でも自炊を取り入れれば、健康にも家計にも◎
  • 業務スーパーやまとめ買いを活用して、1食300円以内を目標に。

▸ 通信費:見直しで月5,000円以上の節約も可能

  • 大手キャリアを使い続けると、月1万円以上になることも。
  • 格安SIM(例:楽天モバイル、UQモバイル、mineoなど)に変更すれば月1,000〜3,000円程度まで抑えられる。
  • ネット環境とセットで契約している場合、一人暮らしならWi-Fiなし+テザリングでも十分な場合あり

▸ 光熱費・水道代:月1万円前後(季節差あり)

  • 電気・ガス・水道代は、季節により変動しますが合計で月7,000〜12,000円程度が目安。
  • 節約の基本は「使っていない家電のコンセントを抜く」「冷暖房は温度調整を工夫」など、小さな積み重ねから。

◆ 支出の管理には「黄金の家計比率」を活用しよう

一般的に、理想的な一人暮らしの支出割合は以下のように言われています(手取り月収20万円の場合):

項目割合金額(例)
住居費25%50,000円
食費15%30,000円
通信・光熱費10%20,000円
交通費5%10,000円
交際費・娯楽15%30,000円
日用品・雑費5%10,000円
貯金15%30,000円
予備費(医療など)10%20,000円

もちろん、住んでいる地域やライフスタイルによってこの比率は変わりますが、「貯金や余裕資金を先取りして残りで生活する」という考え方が大切です。


◆ 家計管理を習慣化する3つのコツ

  1. 固定費の見直しを最優先する
     → 家賃、通信費、保険料などは一度見直せば毎月の支出が大きく変わります。
  2. 「先取り貯金」で自動的に残す仕組みを作る
     → 給与や仕送りが入ったら、まず貯金分を別口座に移す。
  3. 家計簿アプリで月末に振り返る習慣を持つ
     → 収支の傾向が見えると、節約ポイントが自然とわかります。

◆ まとめ:収入が少なくても「家計を整える力」が将来を変える

収入が少ない時期だからこそ、「お金の使い方」に意識を向けることが大切です。毎月の固定費をコントロールできるようになれば、収入が増えたときにもしっかり貯めて備えることができます。「何となく使って、何となく足りない」から卒業し、「目的をもって使い、余裕を作る」習慣をこの時期に築いていきましょう。