「ゆりかごから墓場まで」— 人生の各ステージのファイナンシャル・プランニング【連載6】

親が知っておくべき税金や手続きのポイント
目次
赤ちゃんが生まれると、生活が一変します。慌ただしい毎日の中で、役所への手続きや税金関連の申請を後回しにしてしまいがちですが、早めに対応することで税金の軽減や給付金の受け取りなど、多くのメリットを得ることができます。
ここでは、親が知っておきたい基本的な税金の仕組みや、育児期に必要な手続きについて、わかりやすく解説します。
◆ 出生届は14日以内に提出が必要
まず最初に行うべきなのが、「出生届」の提出です。赤ちゃんが生まれた日を含めて14日以内に、住民登録している市区町村の役所に提出しましょう。出生届が提出されることで、以下のような手続きが可能になります
- 住民票の作成(健康保険・児童手当の申請に必要)
- 乳幼児医療証の申請
- 児童手当や医療費助成の申請
◆ 所得税・住民税の控除制度を活用しよう
赤ちゃんが生まれると、税制面でも控除対象が増えます。確定申告や年末調整のタイミングで忘れず申請することで、所得税や住民税が軽減されることがあります。
▸ 扶養控除(16歳未満は対象外)
- 実は0〜15歳の子どもは「扶養控除」の対象外ですが、16歳以上になると対象となります。
- ただし、配偶者や高齢の親を扶養している場合は控除対象になることもあるため、全体の扶養状況を確認しておくことが大切です。
▸ 配偶者控除・配偶者特別控除
- 妻または夫が育児のためにパートや専業主婦(主夫)になった場合、所得が一定以下であれば配偶者控除(最大38万円)や配偶者特別控除(最大38万円)が適用される可能性があります。
- 年収130万円の壁、103万円の壁など、働き方によって控除額が変わるため注意しましょう。ただし、この金額については近年議論が活発になっていますので、今後の法改正などにも注意が必要です。
▸ 医療費控除
- 出産費用のうち、保険適用外であっても医療行為と認められる部分(例:分娩費用、通院交通費など)は医療費控除の対象となる場合があります。
- 1年間で支払った医療費が10万円または所得の5%を超えた場合に適用されます。
◆ 健康保険・扶養の手続き
子どもが生まれたら、健康保険の加入手続きを早めに行うことが大切です。以下の手続きは出生届とセットで行うことが多いですが、勤務先の健康保険組合などに届け出る必要があるケースもあります。
▸ 健康保険の被扶養者登録
- 子どもは親の健康保険に扶養家族として追加することができます。
- 被扶養者になることで、子どもの医療費が保険適用となり、助成制度も利用できます。
▸ 乳幼児医療費助成の申請
- 自治体によって内容は異なりますが、多くの地域で医療費が無料または1回数百円程度に抑えられます。
- 乳幼児医療証の発行には申請が必要なので、早めに手続きしましょう。
◆ 出産費用の領収書は必ず保管を
出産費用のうち、医療費控除の対象になるものがあります。具体的には以下のような支出が該当します。
- 分娩費用(正常分娩も含む)
- 通院交通費(公共交通機関の実費)
- 入院中の部屋代・食事代(特別室利用を除く)
支払った領収書は、確定申告時に必要となりますので、すべて保管しておきましょう。
◆ 必要な手続きを「育児手続きリスト」で管理しよう
出産後に行うべき手続きは、多くて忘れがちです。以下のような「やることチェックリスト」を作成しておくと便利です:
手続き | 期限 | 申請先 |
出生届の提出 | 出生から14日以内 | 市区町村役所 |
健康保険加入 | 出生から30日以内 | 勤務先/保険組合 |
児童手当の申請 | 出生後できるだけ早く | 市区町村役所 |
医療費助成の申請 | 出生後できるだけ早く | 市区町村役所 |
医療費控除の申請 | 翌年の確定申告期間 | 税務署 |
◆ まとめ:手続きを早めに済ませ、控除と給付をしっかり受け取る
赤ちゃんが生まれたあとの税金や手続きには、「やった人だけが得をする」ものが多くあります。忙しい中でも、早めに確認して、受けられる支援や控除をしっかり受け取ることが家計の安定につながります。
特に所得税の控除や児童手当などは、申請の遅れによってもらえない期間が発生する可能性があるため、要注意です。
本項でご紹介したポイントを押さえながら、家族全体の資金計画とリンクさせて進めていくことで、より安心して子育てに臨むことができるでしょう。