「ゆりかごから墓場まで」— 人生の各ステージのファイナンシャル・プランニング【連載33】

家族に負担をかけない終活(エンディングノート、葬儀費用の準備)
目次
「終活」という言葉が広く知られるようになった現代。
これは“死に向かう準備”というよりも、「自分らしく生き切るための準備」であり、同時に家族の負担を減らすための心配りでもあります。
本項では、代表的な終活の手段である エンディングノートの作成 と 葬儀費用の準備 について解説します。
◆ エンディングノート:想いと情報を整理する
エンディングノートとは、自分が亡くなった後に備えて、家族に伝えたい情報や希望を書き残すノートのことです。法的拘束力はありませんが、家族の心の負担を軽減する大切な役割を果たします。
▸ 書き残しておくと良い項目
- 基本情報:氏名・生年月日・血液型・本籍地
- 資産情報:銀行口座、保険、年金、借入の有無
- 医療・介護の希望:延命治療の希望、介護施設の意向
- 葬儀・埋葬の希望:宗派、葬儀の規模、墓地・納骨方法
- 大切な人へのメッセージ
▶ 家族が「どうすればいいのか」と迷う場面を減らすことができます。
◆ 葬儀費用の相場と準備方法
日本消費者協会の調査によれば、一般的な葬儀費用は 約100〜150万円前後。
地域や規模によって差はありますが、突然の出費となるため家族にとって大きな負担となり得ます。
▸ 費用準備の方法
- 葬儀保険(少額短期保険)
→ 少額の掛け金で葬儀費用をカバーできる - 預金の確保
→ 葬儀専用の口座や定期預金を用意しておく - 互助会制度の活用
→ 生前に積み立てて葬儀プランを利用可能
▶ いずれの場合も、家族がすぐに引き出せる資金にしておくことが重要です。死亡直後は銀行口座が凍結されるため、使えないリスクに注意が必要です。
◆ 家族への「安心」を残すことが最大の財産
終活の目的は「自分が安心するため」と同時に「残された家族が困らないようにすること」です。
エンディングノートで意思を伝え、葬儀費用を準備しておけば、家族は精神的にも経済的にも安心して故人を送り出せます。それは、財産以上に大切な “最後の贈り物” になるでしょう。