改正民法における「共同親権」制度の導入について

改正民法における「共同親権」制度の導入について

2024年に成立した改正民法により、日本でも離婚後の「共同親権」が認められることになりました。この改正は、長年にわたり単独親権が原則とされてきた日本の親権制度にとって、大きな転換点といえます。以下では、この制度の概要と従来との違い、そして注意すべきポイントを整理します。

◆ 従来の制度:離婚後は「単独親権」が原則

これまでの日本の民法では、父母が離婚した場合、どちらか一方を親権者と定める「単独親権」制度が採用されてきました。これにより、離婚後は一方の親が子どもの親権を持ち、もう一方の親は法律上の親権行使ができませんでした。

◆ 改正民法による「共同親権」の導入

今回の改正により、父母が合意すれば、離婚後も共同で親権を持つ「共同親権」が選択可能となります。これにより、両親が子の養育や教育、医療に関する重要な決定を共に行うことが可能になります。

◆ 重要な変更点とその意義

  1. 選択制の導入:離婚後、父母の合意があれば共同親権を選択可能。ただし、合意がない場合は従来通り単独親権となります。
  2. 裁判所の判断も可:合意が得られない場合でも、家庭裁判所が子の利益を考慮して共同親権とすることも可能。
  3. 子の利益の重視:改正では、親権のあり方は「子の最善の利益」に基づいて判断されると明記されています。

◆ 注意点と実務上の課題

  • 意見の対立時の調整:共同親権を選択した場合でも、意見が分かれた際の調整手段や責任分担が明確でないと、トラブルの原因になり得ます。
  • DVや虐待の懸念:一方の親がDV加害者である場合などには、共同親権が子どもに悪影響を及ぼす恐れがあり、家庭裁判所の慎重な判断が求められます。
  • 実務対応の整備:学校や病院など、共同親権下での対応方法についての明確な運用ルールが今後必要になります。

◆ まとめ

改正民法による共同親権の導入は、親子関係の維持や子どもの福祉を尊重する観点から歓迎すべき変化といえます。ただし、親同士の十分な協議と信頼関係、そして社会的なサポート体制の整備が不可欠です。制度の趣旨を正しく理解し、子どもの視点を最優先にした対応が求められます。