高齢期の資金対策として注目される「リバースモーゲージ」とは?

高齢期の資金対策として注目される「リバースモーゲージ」とは?
目次
~仕組み・メリット・デメリット・利用時の注意点を解説~
老後資金の不足が懸念される中、自宅を活用して生活資金を確保できる制度として「リバースモーゲージ」が注目を集めています。本コラムでは、リバースモーゲージの仕組みからメリット・デメリット、利用する際の注意点までをわかりやすく解説します。
◆ リバースモーゲージとは?
リバースモーゲージ(Reverse Mortgage)とは、自宅などの不動産を担保にして、金融機関から生活資金などを借り入れるローンの一種です。借入れた資金は、毎月定額または一括で受け取ることができ、契約者が死亡した後に自宅を売却するなどして借入金を返済する仕組みです。
通常の住宅ローン(フォワードモーゲージ)とは逆に、高齢者が資産を取り崩す形で現金化する点が特徴です。
◆ リバースモーゲージの主な仕組み
- 対象者:概ね60歳以上の高齢者
- 担保資産:自宅(土地・建物)
- 資金の用途:生活費、医療費、リフォーム費用、老後資金など(金融機関によって異なる)
- 返済方法:契約者の死亡後、担保不動産の売却により一括返済
◆ メリット
- 自宅に住み続けながら資金を確保できる
住居を手放すことなく、生活費や医療費などの資金を調達可能。 - 返済は原則として死亡後
在命中の返済義務が基本的にないため、毎月の負担を抑えられる。 - 資産の有効活用
不動産を現金化して有効に活用できる手段として選ばれている。 - 公的制度との併用も可能
一部自治体では、生活支援の一環としてリバースモーゲージを支援する制度もある。
◆ デメリット
- 利用できる不動産に制限がある
市街地の戸建て住宅など担保価値の高い物件が対象。地方の住宅やマンションは対象外の場合も。 - 相続に影響が出る可能性
契約者の死後に不動産が売却されるため、子どもなどの相続人が住み続けることは難しい。 - 金利変動リスクがある
変動金利で契約するケースが多く、長期契約での金利上昇リスクも。 - 長生きリスク(リスクではなく課題)
長寿化により借入残高が担保価値を上回る可能性があるため、契約期間の制限があることも。
◆ 利用時の注意点
- 契約内容を十分に理解すること
返済方法や利息、担保評価、契約期間などをしっかり確認しましょう。 - 相続人との話し合いを行うこと
死後に自宅が処分されることを前提とするため、事前に家族と相談し、相続計画を明確にしておくことが重要です。 - 信頼できる金融機関を選ぶこと
商品内容や条件は金融機関ごとに異なるため、複数社を比較検討することをおすすめします。 - 公的制度との併用の可否を調べること
一部自治体では独自のリバースモーゲージ制度を導入している場合があります。
◆ まとめ
リバースモーゲージは、「住み慣れた自宅に住み続けながら資金を確保できる」という大きなメリットがありますが、相続や担保リスクなどのデメリットも存在します。老後のライフプランに合わせて、家族や専門家と相談しながら慎重に検討することが大切です。
高齢期の資産活用の一つの選択肢として、リバースモーゲージを理解し、上手に活用することが、安心したセカンドライフの実現につながります。