「ゆりかごから墓場まで」— 人生の各ステージのファイナンシャル・プランニング【連載20】

保険の見直し(生命保険、医療保険、学資保険)

結婚や出産、住宅購入など、生活の基盤が整い始める25〜40歳の時期は、家族を守るための保険の見直しにもっとも適したタイミングです。独身時代と違い、自分が万一のときに「家族の生活や子どもの将来」が大きく左右されるため、保険の役割はますます重要になります。

この項では、生命保険・医療保険・学資保険の基本と、見直しのポイントを整理していきます。


◆ 生命保険:遺された家族の生活を守る備え

生命保険は、死亡・高度障害になったときに家族に保険金が支払われる保険です。とくに一家の大黒柱に万一のことがあった際、子どもの教育費や住宅ローンの返済に困らないようにする目的で加入されます。

▸ 必要保障額の考え方

「万が一のとき、残された家族が何年暮らせるか」をベースに逆算します。

項目目安
生活費年間300万円 × 残された年数
教育費子ども1人につき500万〜1,000万円
住宅ローン団体信用生命保険でカバーされる場合が多い(要確認)

▶ 必要保障額 =(生活費+教育費)− 貯蓄・遺族年金等

▸ 定期保険 vs 終身保険の違い

  • 定期保険:一定期間のみ保障。保険料は割安。子育て期間に向いている
  • 終身保険:一生涯保障。貯蓄性があり、解約返戻金がある

▶ 家族構成や収入状況に応じて、「定期+終身のミックス」という選択肢も有効です。


◆ 医療保険:入院や手術に備える医療保障

医療保険は、病気やケガで入院・手術をしたときの医療費の自己負担や収入減を補うための保険です。

▸ 公的医療制度との関係を理解しよう

日本には「高額療養費制度」があるため、1ヶ月の医療費が一定額(約8〜9万円)を超えると払い戻されます(所得により異なる)。

▶ 過剰な医療保険に入らず、「必要最低限」で十分なケースも

▸ 医療保険選びのチェックポイント

  • 日額入院給付金:5,000〜10,000円が一般的
  • 手術給付金:診療報酬点数で支給される商品が多い
  • 通院給付や先進医療特約をつけるかどうかはライフスタイルに応じて選択

◆ 学資保険:教育資金を計画的に準備

学資保険は、子どもの進学費用を確実に準備するための貯蓄型保険です。大学進学時期(18歳など)に満期金が支払われる契約が一般的です。

▸ メリット

  • 強制的に積立ができる
  • 契約者に万一があった場合の保険料免除制度あり
  • 満期金が進学時期に合わせて受け取れる

▸ デメリット

  • 中途解約で元本割れのリスク
  • 金利が低いため、増やす目的には不向き

▶ 学資保険は「確実性」を重視したい家庭に向いていますが、利回り重視ならNISAの方が有利な場合もあります。


◆ 保険見直しのタイミングと方法

タイミング見直し理由
結婚保障対象が増える(配偶者)
出産子どもに対する教育費の確保
住宅購入住宅ローンで保障が重複している可能性あり
転職・独立収入変動により保険料の再調整が必要に

▸ 見直しのポイント

  • 必要な保障額を明確にする
  • 保険料が家計を圧迫していないかチェック
  • 同じ内容で安い商品に乗り換える(ネット保険など)
  • 保障内容がライフステージに合っているかを定期的に確認

◆ まとめ:保険は「入ること」より「合っているか」が大切

保険は「何となく入っている」状態ではなく、ライフスタイル・収入・家族構成に応じて見直すことが重要です。必要以上に高額な保険料を払い続けているケースも少なくありません。大切なのは、いざというときの備えを“過不足なく”整えること。無駄を省きながら、家計に優しく、家族をしっかり守る保険設計を目指しましょう。