「ゆりかごから墓場まで」— 人生の各ステージのファイナンシャル・プランニング【連載18】

住宅購入 vs 賃貸:どちらを選ぶべきか
目次
結婚や出産、子育てをきっかけに、「そろそろマイホームを持ちたい」「賃貸のままでいいのか?」といった住まいの選択に直面する人が増えてきます。
住宅は人生で最も高価な買い物の一つであり、住宅ローンを組めば数十年単位の返済計画が伴うため、購入と賃貸のどちらが良いかは慎重に考えるべき重要なテーマです。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、最適な住まいの選び方を解説します。
◆ 住宅購入のメリット・デメリット
▸ メリット
- 資産になる(将来的に売却や相続が可能)
- 住宅ローン完済後の住居費負担が軽減
- 自由なリフォームやペットの飼育が可能
- 固定金利で組めば、将来の家賃上昇リスクなし
▸ デメリット
- 初期費用が高額(頭金、諸費用で物件価格の7〜10%程度)
- 住宅ローンによる長期的な返済負担
- 転勤・離婚・災害などにより住み替えが難しい
- 建物の価値は経年劣化で減少(特にマンション)
◆ 賃貸のメリット・デメリット
▸ メリット
- ライフステージに応じて自由に住み替え可能
- 初期費用が安く、住宅ローンの返済リスクなし
- 修繕費用や固定資産税の支払い義務がない
- 転勤や転職が多い人には柔軟性が高い
▸ デメリット
- 家賃を払い続けても資産にならない
- 高齢になると賃貸契約の更新・入居審査が厳しくなる場合あり
- 長期的に見れば購入より総支払額が高くなる可能性
◆ 生涯の住居費比較:購入と賃貸のケーススタディ
条件 | 持ち家(購入) | 賃貸 |
住宅ローン返済 | 約35年、月9万円 | なし |
固定資産税・修繕費 | 年間10万〜20万円程度 | なし |
家賃 | なし(完済後) | 月9万円×生涯(値上がりリスクあり) |
総支出(40年間) | 約4,000万円 | 約4,300万円〜4,800万円 |
※物件価格3,000万円、賃貸月額9万円で試算。エリアや年齢、金利条件により変動します。
◆ 判断基準になる7つの質問
以下の質問に「はい」が多ければ、住宅購入の適性が高いと言えます:
- 10年以上、同じ地域に住む予定がある
- 安定した収入(または共働き)がある
- 子育て・通学環境を優先したい
- ペットやガーデニングなど、自由な住まいを望む
- 家賃の上昇に不安がある
- 両親からの援助(頭金や相続)が見込める
- 万が一に備えた予備資金(生活防衛費)も確保できている
逆に、転職や転勤の可能性が高い、独身またはDINKs(子どもを持たない共働き夫婦)などの場合は、賃貸での柔軟な暮らしが向いている場合もあります。
◆ まとめ:大切なのは「経済的な損得」ではなく「ライフスタイルとの相性」
「住宅は買うべきか、借りるべきか」という問いには、絶対的な正解はありません。大切なのは、自分と家族にとってどちらが安心で、生活スタイルに合っているかを見極めることです。
経済的な側面だけでなく、心のゆとりや家族の価値観も大切にしながら、「今と将来のバランス」を取った選択をしていきましょう。