「ゆりかごから墓場まで」— 人生の各ステージのファイナンシャル・プランニング【連載9】

子どもへの金銭教育の始め方
目次
「お金の教育」と聞くと、なんとなく難しそう、まだ早いのでは……と感じる方も多いかもしれません。しかし、実は金銭感覚は幼少期から少しずつ育まれていくものです。お金に対する価値観や使い方は、親の姿や家庭環境を通して自然と子どもに伝わっていきます。
学童期・思春期は、子どもが自分で考え、行動する力が育っていく時期。このタイミングで金銭教育を始めることで、将来にわたって役立つ「お金との健全な付き合い方」を身につけることができます。
◆ 金銭教育を始める3つの目的
- お金の「価値」を理解する
→ モノやサービスには対価があることを知る。 - お金の「管理」方法を学ぶ
→ 使う、貯める、選ぶ力を身につける。 - 自立した金銭感覚を育てる
→ 将来、収入や支出を自分でコントロールできるように。
◆ 金銭教育の始め方【年齢別のステップ】
▸ 小学校低学年(7〜9歳):基本的な金銭感覚を育てる時期
- お手伝いや行動に応じてお小遣いを与える
- 100円ショップで「自分で買う」体験をさせる
- 「お金は無限にあるものではない」ことを、親子で話し合う
おすすめワーク:お金の3つの使い道「使う・貯める・ゆずる」を分けて貯金箱を用意する。
▸ 小学校高学年〜中学生(10〜15歳):管理と選択の力を育てる時期
- 月ごとにお小遣いを渡し、管理を任せる
- 欲しいものは「どうやって手に入れるか」自分で考えさせる(お小遣いのやりくり、貯金、親に相談など)
- 家計の話をオープンにする(例えば「今月は旅行のために節約してるよ」など)
おすすめワーク:おこづかい帳やアプリで簡単な家計簿をつける練習をする。
▸ 高校生(16〜18歳):実践的な経済リテラシーを養う時期
- バイト収入がある場合、「収入の一部は貯金する」習慣を教える
- キャッシュレス決済やクレジットカードの仕組みを説明し、「使いすぎのリスク」も学ばせる
- 投資や税金など、社会に出る前に最低限知っておきたい金融知識を教える
おすすめワーク:親子でNISAや貯蓄型保険のシミュレーションをしてみる。
◆ 親が気をつけたい3つのポイント
- お金の話題をタブーにしない
→ 「お金の話=いやらしい」という感覚を持たせず、自然に話せる環境を。 - 「ほしいから買う」ではなく「必要だから選ぶ」姿勢を見せる
→ 買い物の場面は最高の教育のチャンスです。 - 失敗から学ばせる
→ お小遣いを使い切って後悔した経験も、立派な学び。頭ごなしに叱るより、次にどう活かすかを一緒に考える姿勢が大切です。
◆ 金銭教育は「家庭でできる最も実践的な教育」
学校教育では、お金の使い方や管理方法を学ぶ機会はまだまだ限られています。だからこそ、家庭での金銭教育が重要です。日常の中でお金の話をする習慣を持ち、子ども自身に小さな判断や選択の機会を与えることが、将来の自立に直結します。
子どもがお金を「道具」として上手に使えるようになること。それこそが、将来に向けた最高の投資と言えるのではないでしょうか。