日本の「基幹統計調査」とは?~暮らしと社会を支える大切なデータたち~


日本の「基幹統計調査」とは?~暮らしと社会を支える大切なデータたち~

私たちの暮らしや社会は、知らず知らずのうちにたくさんの「統計」に支えられています。物価、労働、人口、経済の動きなど――その元となる情報の多くは、政府が実施する「統計調査」から得られています。
その中でも、特に国の重要な判断の土台となる「基幹統計調査(きかんとうけいちょうさ)」をご存知でしょうか?

■ 基幹統計とは?

「基幹統計」とは、国の政策や法律の立案・評価、経済活動の把握、社会保障制度の運営など、行政の中核をなすために不可欠とされる重要な統計です。

総務省によって「基幹統計調査」と指定された調査は、統計法に基づいて実施され、正確性・継続性・信頼性が特に求められます。

■ 主な基幹統計調査の例

いくつか代表的な基幹統計調査をご紹介します。

  • 国勢調査(総務省統計局)
     5年に1度、全国民を対象に実施。人口構成や世帯の実態など、国の基本情報を明らかにします。
  • 労働力調査(総務省統計局)
     毎月実施され、就業者数、失業率など労働市場の動向を把握します。雇用政策に欠かせません。
  • 家計調査(総務省統計局)
     家計の支出や収入を調べ、消費者の暮らしの変化を捉えます。物価指数などにも反映されます。
  • 鉱工業指数調査(経済産業省)
     製造業の生産動向を測る調査。景気の先行指標として注目されています。
  • 全国消費実態調査(5年ごと・総務省)
     収入・支出・貯蓄などを多角的に把握し、暮らしの全体像を明らかにします。

■ なぜ重要なのか?調査結果の使われ方

こうした調査の結果は、私たちの生活に密接に関わっています。たとえば――

  • 自治体の人口データにより、学校や病院の整備計画が立てられます。
  • 雇用統計から、失業対策や雇用支援の政策が設計されます。
  • 家計の支出データが、消費税の議論や物価対策に活かされます。

また、民間企業もマーケティング戦略や市場分析に活用しており、統計は「社会の羅針盤」と言えるでしょう。

■ 信頼されるための工夫

基幹統計調査は、個人情報の厳重な保護や調査方法の改善など、信頼性確保に努めています。たとえば、調査員の訪問に加えてオンライン回答も普及しつつあり、回答しやすい環境づくりが進んでいます。


■ おわりに

「統計」と聞くと、難しそうに思えるかもしれません。でも、基幹統計は私たちの未来を考えるうえで、とても身近で大切な情報源です。
もし調査の依頼が来たら、「社会を良くする一歩に参加するチャンス」だと考えて、ぜひ協力してみてください。