「ゆりかごから墓場まで」— 人生の各ステージのファイナンシャル・プランニング【連載5】

育児費用のリアルな内訳と節約のコツ

赤ちゃんが生まれてからの日々は、喜びと発見の連続です。しかし、同時に家計にとっては新たな支出が増える時期でもあります。「子どもが1人育つのに1,000万円以上かかる」と言われることもあり、将来に不安を感じる方も少なくありません。

この項では、0歳〜6歳までにかかる主な育児費用の内訳を明らかにしながら、無理なく賢く節約するためのコツをご紹介します。

◆ 0〜6歳までにかかる育児費用の主な内訳

日本政策金融公庫などの調査によると、未就学児1人あたりにかかる年間の育児費用は平均80〜100万円前後とされています。以下に、主な支出項目をまとめます。

項目月額目安(円)年額目安(円)
オムツ・ミルクなどの日用品10,000〜15,000120,000〜180,000
衣類・育児グッズ5,000〜10,00060,000〜120,000
医療・衛生関連(医療費、予防接種等)2,000〜5,00024,000〜60,000
保育料(公立/私立で差あり)0〜50,000以上0〜600,000以上
習い事・知育玩具3,000〜15,00036,000〜180,000

※地域や家庭の方針によって大きく変動します。

◆ 節約のコツ①:ベビーグッズは「買わない」選択もアリ

赤ちゃん用品はすぐに使えなくなるものが多く、無計画に買うと出費がかさみます。

▸ おさがりやレンタルを活用

  • ベビーベッド、ベビーカー、抱っこ紐などの大型アイテムは、知人やフリマアプリで譲り受ける/貸してもらうのが◎。
  • 赤ちゃん用品のレンタルサービス(ベビレンタなど)を活用すれば、短期間だけ必要なものを安く利用できます。

▸ 本当に必要かを見極めて購入

  • 初めての育児では「全部揃えなきゃ」となりがちですが、実際には使わなかったグッズも多いです。口コミやレビューで使用感を確認し、必要最低限から始めるのが賢い方法です。

◆ 節約のコツ②:日用品・ミルク・オムツは「まとめ買い+比較」

日々使うミルクやオムツは、ちょっとした工夫で年間数万円の節約が可能です。

▸ ドラッグストアのアプリ・ポイントを活用

  • ウェルシア、マツモトキヨシなどのポイントを使い分けることで実質価格を下げられます。

▸ ネット通販+定期購入の活用

  • Amazonの「定期おトク便」や楽天のまとめ買いキャンペーンなどで割安に入手可能。
  • 価格比較サイトやクーポンをチェックする習慣も◎。

◆ 節約のコツ③:保育園・幼稚園の費用は補助制度をチェック

近年は保育料の無償化が進み、家庭の負担も軽減されつつありますが、制度の内容は地域や世帯収入によって異なります

▸ 幼児教育・保育の無償化(2019年〜)

  • 3〜5歳の子どもの保育園・幼稚園の保育料が原則無償。
  • 0〜2歳も住民税非課税世帯であれば対象に。

▸ 自治体独自の助成制度

  • 一部自治体では、おむつ券、子育て応援給付金、医療費助成など独自の支援も。各自治体のHPや窓口で確認を。

◆ 節約のコツ④:中古やリユースで賢く選ぶ

子どもの成長は早く、洋服やおもちゃはすぐにサイズアウト・飽きてしまいます。

▸ リサイクルショップやフリマアプリの活用

  • メルカリ、ラクマ、セカンドストリートなどで状態の良い商品を安く手に入れることが可能。
  • 特にブランド子供服やベビー用品は、人気が高く出品数も多いため選びやすい。

◆ 節約のコツ⑤:手当や給付金を「育児資金専用口座」へ

児童手当(月1〜1.5万円)などの公的支援は、日々の家計に回すよりも、別口座に分けて貯蓄しておくのがおすすめです。いざというときの出費(入園準備、進学費用など)にも備えられます。

◆ まとめ:無理なく、かしこく育児費用をコントロール

育児にかかるお金は、すべてを節約することが正解ではありません。
大切なのは、「必要なところにしっかり使い、ムダな出費を見極める力」を身につけることです。

0〜6歳の育児期は、出費の傾向がつかみやすく、家計の「土台づくり」のチャンスでもあります。
賢くやりくりしながら、将来の教育費や家族のための資産形成へとつなげていきましょう。

もちろんです。「親が知っておくべき税金や手続きのポイント」の項では、出産・育児期において忘れがちな税金の控除や手続き、行政への届出のポイントなどを解説します。実際に活用できる制度や、見落とされがちな注意点を盛り込んだ内容にしています。