「ゆりかごから墓場まで」— 人生の各ステージのファイナンシャル・プランニング【連載4】

子どもの将来に向けた資産形成の基本
目次
子どもが成長するにつれて必要になるのが、「教育費」です。高校までは比較的負担が軽いとしても、大学進学となると数百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。こうした将来の支出に備え、早い段階から計画的に資産形成を始めることが重要です。
この項では、特に利用されることの多い学資保険とNISA制度の2つの方法について詳しく解説します。
◆ 学資保険:教育資金のための「貯める+保障」の仕組み
学資保険は、子どもの教育資金を計画的に積み立てるための保険商品です。親が契約者となり、一定期間保険料を支払い、子どもが進学するタイミング(中学・高校・大学など)で祝い金や満期金として資金を受け取ることができます。
【メリット】
- 強制的な貯蓄ができる:毎月決まった額を積み立てるため、貯金が苦手な人にも向いています。
- 保障がついている:契約者(親)が亡くなった場合、以後の保険料の支払いが免除され、満額の給付金が支払われる保険もあります。
- 進学のタイミングに合わせた給付金設計が可能。
【注意点】
- 中途解約すると元本割れする可能性があるため、途中で引き出すことができません。
- 現在の低金利環境では、利回りがそれほど高くないことも。
- インフレに対する対応力はやや弱め。
【こんな家庭におすすめ】
- リスクを抑えて、確実に教育資金を積み立てたい人
- 万が一に備えた保障も兼ねたい人
◆ NISA:非課税で増やす教育資金
2023年末に終了した「ジュニアNISA」は、子ども名義で資産運用を行うための非課税制度でしたが、2024年からは大幅に改善された新NISA制度がスタートしました。現在では、子どもの将来に向けた資産形成にも、新NISAの「つみたて投資枠」や「成長投資枠」を活用する家庭が増えています。
【NISAの主なメリット】
- 運用益が非課税:通常は20.315%の税金がかかる運用益が、すべて非課税になります。
- 長期・積立・分散投資に適しており、教育資金を効率的に増やすことが可能。
- 柔軟性が高い:必要なときに売却・引き出しが可能で、使途も自由。
【注意点】
- 元本保証がないため、投資対象によっては損失が出ることも。
- 教育資金として使う場合は、使用する時期に合わせたリスク管理(リスク資産→現金化)が必要。
- 子ども名義の口座を運用する場合、贈与税などの注意点も。
【おすすめの活用法】
- つみたて投資枠(年間120万円)を利用して、毎月一定額を積み立てる。
- 教育資金として使う5年前には、リスク資産から現金資産へのシフトを行う。
- 子どものために運用する際には、親のNISA口座で運用し、教育費として使う方法も一般的。
◆ 学資保険とNISA、どちらを選ぶべき?
比較項目 | 学資保険 | NISA(つみたて投資) |
元本保証 | あり(満期まで) | なし(投資先による) |
利回り | 低め(1%未満が多い) | 高め(3〜5%も期待可) |
柔軟性 | 低い(途中解約リスクあり) | 高い(引き出し自由) |
リスク | 少ない | 市場リスクあり |
保障 | あり(契約者死亡時など) | なし |
どちらを選ぶかは、家庭の方針・貯蓄の目的・リスク許容度によります。例えば、
- 「絶対に損をしたくない」という方は学資保険を中心に。
- 「少しでも増やしたい」「長期投資の知識がある」ならNISAの活用を。
あるいは、両方をバランスよく組み合わせることで、安定性と成長性の両立を図ることも可能です。
子どもが小さいうちに準備を始めれば、それだけ時間を味方につけることができます。将来の教育費に向けた資産形成、あなたはどんな方法で備えますか?